柿の葉寿司に合わせて飲みたい日本酒

柿の葉寿司のこと

こんにちは。奈良の伝統料理「柿の葉寿司」のゐざさ-中谷本舗-です。

皆さんは柿の葉寿司を食べるとき、どんなお酒を一緒に飲みますか?ビール?ハイボール?それとも焼酎?美味しいお料理に、美味しいお酒は欠かせません。

色々なお酒がある中で、今回は「日本酒」を取り上げます。創業300年を超え、清酒「御代菊」で有名な喜多酒造(奈良県橿原市)の喜多整社長に、「柿の葉寿司と日本酒との素敵な関係」についてお話を伺いました。

ーーまず、御社の歴史についてお伺いできますか?

当社は1718年(享保3年)、初代・利兵衛によって創業しました。初代は非常にこだわりの強い方だったらしく、水と米を自分が納得がいくまで探したのち、創業したそうです。当時からこの橿原の地で酒造りをしています。

喜多酒造株式会社の喜多社長

約80年前、橿原神宮の拡張工事により酒蔵を現在の場所に移築しました。清酒「御代菊」や大吟醸「白檮」などのお酒を造っています。創業者の意志を受け継ぎ、造り手の思いが飲む人の心に伝わる「美味しいお酒」にこだわっています。

ーー私たち「ゐざさ」とも、橿原神宮様との関わり合いから古いお付き合いをさせていただいております。当社の飲食店「ゐざさ茶屋」でも「御代菊」などを提供させていただいており、お客様にもご好評いただいています。

ありがとうございます。私も何度か訪問させていただいたことがありますが、ゐざさのお寿司と日本酒はとても合いますね。

ーーぜひ、そのあたりを今回はお聞きしたいです。柿の葉寿司と相性の良いお酒はどういうものでしょうか?

お寿司も日本酒も原料は「米」。ですので、基本的にはとても相性が良いと思います。酢飯の酸味やネタの旨みを引き出すのは、やはり辛口のお酒が合うと思います。当社の商品の中で言うと、おすすめは純米吟醸「御代菊」(山乃かみ酵母)と、純米「御代菊」(奈良うるはし酵母)の2つでしょうか。

ーーこの2種類のお酒はどんなお酒なのですか?

室町時代、奈良という地で日本酒の製法は進化をしたと言われています。その当時に開発された製法が「水もと仕込」と呼ばれる作り方です。

酒母しゅぼ造り」と呼ばれる、酒造りの中で重要な工程があります。酒母とは、アルコールを生成する酵母を培養するのが大きな目的です。現在の日本酒造りでは、「速醸」といって人工的な乳酸を加えることが多いです。
一方で、「水もと」は天然の乳酸菌を用いて酒母を造ります。「生酛きもと」造りも天然の乳酸菌を使いますが、「水もと」造りは生米を水に数日浸して乳酸発酵させた「そやし水」と呼ばれる酸性化させた水を使用するのが大きな違いです。

ーーなるほど。素人なので知らないことばかりで勉強になります。その「水もと仕込」で作った日本酒が「柿の葉寿司」と相性が良いと思うのはどういう理由でしょうか?

純米「御代菊」(奈良うるはし酵母)は、その名の通り「奈良うるはし」という酵母を使っています。奈良県の正暦寺から得られた酵母です。正暦寺では今につながる「段仕込み」などの製法が確立されました。また、お米は奈良県産のヒノヒカリを使用。日本酒の歴史と奈良を感じるお酒になっており、奈良の郷土料理である柿の葉寿司に合わすのはぴったりと思います。
水もと仕込みのお酒は、味に深みや幅が加わっているのも特徴ですが、くどくなく口当たりは軽快。お寿司の味を邪魔しない、食事を楽しめる味わいになっています。

奈良うるはし酵母を使った「御代菊」。鯖の柿の葉寿司と合う。

ーー今日は、鯖の柿の葉寿司を持参しました。ぜひ試食していただき、その相性を確かめてください。

ありがとうございます。(一口食べて)やっぱり美味しいですね。じゃあ、ここにお酒を合わせてみます。うん、鯖の旨みや脂を損なわせずに料理もお酒も楽しめますね。そうだなあ、お寿司の味と日本酒の味が並走しているというか、足並みがそろっているというか、そんな感じがしますね。

ーーもう一つの純米吟醸「御代菊」(山乃かみ酵母)はどういうお酒ですか?

華やかな香りが特徴の「山乃かみ」酵母を使った「御代菊」。

同じ水もと仕込なんですが、酵母は「山乃かみ」と呼ばれるものを使っています。この酵母はお酒造りの神様を祭る「大神神社」(奈良県桜井市)のササユリから取れたものです。使うお米は奈良県の酒米「露葉風」。お酒は、華やかな香りがするのが特徴ですね。

ーー鯖の柿の葉寿司と合わせてみてください。ほかに鮭を使った当社のオリジナル「ゐざさ寿司」もあります。こちらとの相性も聞かせてください。

うん、やっぱり美味しい。このお酒もどちらのお寿司とも合いますけど、どちらかと言えば「ゐざさ寿司」と相性が良いですね。笹の葉の爽やかな香りと、鮭の旨みと淡白な味わいが、香り豊かなこのお酒と馴染みます。

ーー日本酒の世界は奥深いです。どういう飲み方がおすすめですか?

常温がおすすめです。お酒本来の味わいを楽しめますので。冷やすなら、やや冷たくするぐらいが良いですね。

趣きのある喜多酒造。創業300年超の歴史を感じる

今回ご紹介した2つのお酒とも、食事を楽しみながら飲めるお酒に仕上がっています。食事の味を損なわせず、お酒自体も奥行きのある味わいです。奈良にこだわったお酒ですので、ぜひ柿の葉寿司とともに味わっていただけると、私たちも嬉しいですね。

ーー本日は、ありがとうございました!

【喜多酒造株式会社】
住所:奈良県橿原市御坊町8番地
http://miyokiku.com/

■ご紹介したお酒■(いずれも、喜多酒造ホームページよりご購入可能)

純米「御代菊」(奈良うるはし酵母)

720ml 1480円(税込)

純米吟醸「御代菊」(山乃かみ酵母)

720ml 1700円(税込)


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